Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
何しろ二人だから億劫だ。――欽吾さんも、もう貰わなければならんね」
「ええ、そう急には……」
いかにも気の無い返事をする。嫁を貰うくらいなら十二年叡山へでも籠る方が増しであると心のうちに思う。すべてを見逃さぬ糸子の目には欽吾の心がひらりと映った。小さい胸が急に重くなる。
「しかし阿母さんが心配するだろう」
甲野さんは何とも答えなかった。この老人も自分の母を尋常の母と心得ている。世の中に自分の母の心のうちを見抜いたものは一人もない。自分の母を見抜かなければ自分に同情しようはずがない。甲野さんは眇然として天地の間に懸っている。世界滅却の日をただ一人生き残った心持である。
「君がぐずぐずしていると藤尾さんも困るだろう。女は年頃をはずすと、男と違って、片づけるにも骨が折れるからね」
敬うべく愛すべき宗近の父は依然として母と藤尾の味方である。甲野さんは返事のしようがない。
「一にも貰って置かんと、わしも年を取っているから、いつどんな事があるかも知れないからね」
老人は自分の心で、わが母の心を推している。親と云う名が同じでも親と云う心には相違がある。しかし説明は出来ない。