Japanische Klassiker mit Furigana
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ぐびじんそう
虞美人草
Lesen Sie 虞美人草 (ぐびじんそう) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.559 Zeichen · 401 Bildschirme
……
格子ががらりと開く。古の人は帰った。
「今帰ったよ。どうも苛い埃でね」
「風もないのに?」
「風はないが、地面が乾いてるんで――どうも東京と云う所は厭な所だ。京都の方がよっぽどいいね」
「だって早く東京へ引き越す、引き越すって、毎日のように云っていらしったじゃありませんか」
「云ってた事は、云ってたが、来て見るとそうでもないね」と椽側で足袋をはたいて座に直った老人は、
「茶碗が出ているね。誰か来たのかい」
「ええ。小野さんがいらしって……」
「小野が? そりゃあ」と云ったが、提げて来た大きな包をからげた細縄の十文字を、丁寧に一文字ずつほどき始める。
「今日はね。座布団を買おうと思って、電車へ乗ったところが、つい乗り替を忘れて、ひどい目に逢った」
「おやおや」と気の毒そうに微笑んだ娘は
「でも布団は御買いになって?」と聞く。
「ああ、布団だけはここへ買って来たが、御蔭で大変遅れてしまったよ」と包みのなかから八丈まがいの黄な縞を取り出す。
「何枚買っていらしって」
「三枚さ。まあ三枚あれば当分間に合うだろう。さあちょっと敷いて御覧」と一枚を小夜子の前へ出す。
「ホホホホあなた御敷なさいよ」