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Japanische Klassiker mit Furigana

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かや

蚊帳

織田 作之助

Lesen Sie 蚊帳 (かや) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.838 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

浴衣の上から抱いても、妻の体は火のように熱かった。そしてはっとするくらい軽かった。

「死んでもいい、死んでもいい」

夢中になって叫び続けている妻の声は、自分の体のことを忘れてしまうくらい取り乱していたが、しかしいかにも苦しそうで、彼の耳にはふと悔恨の響きであった。

彼はこの時くらい自分が男であることを意識することはなかった。

妻は水の引くように痩せて、蚊帳の中で死んでしまった。死ぬ前「今度奥さんを貰う時は、丈夫な奥さんを貰ってね」と言った。

「莫迦、お前が死んだら俺は一生独身でいるよ、女房なんか貰うものか」

彼は妻の胸に涙を落しながら言った。その涙をふいている内にふと俺は嘘を言ってるのかも知れないと思った。

しかし、妻が死んでしまうと、彼は妻に言った言葉を守ろうと思った。死んだ人間に対しては、もう約束を守るよりほかに何一つしてやるものがないのだと思った。

看護婦の代りに年とった家政婦が来たが、会社の仕事を家へ持ち帰って夜更くまで机の前に座っている彼は、家政婦が寝てから、自分で蚊帳を釣った。しょんぼり蚊帳を釣りながら池の食用蛙の鳴声を聴いていると、ポトポト涙が落ちた。