Japanische Klassiker mit Furigana
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かや
蚊帳
織田 作之助
Lesen Sie 蚊帳 (かや) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.838 Zeichen · 6 Bildschirme
二
蚊帳を釣らずに、蚊取線香をつけて寝る夜もあった。そんな夜は夜通し眠れなかった。
そんな彼を見て、家政婦は、
「新しい方に来てお貰いになったら、気もまぎれますよ。なくなられた奥さんのことは早く忘れてあげる方が、かえって仏のためですよ」
と再婚をすすめたが、
「女房は僕が苦労させて殺したようなもんだから……」
あとを貰っては女房に済まないと言い言いしていた。
二
ところが、一周忌が済むと彼はあちこちから持ち込まれる娘の写真を、だらしなく手に取って見るようになってしまった。其中で死んだ妻にどこか面影の似ている娘があった。妻は二十八で死んだ故彼の脳裡にある妻の顔はいつも二十八歳の顔であった。その娘は二十一歳だという、二十一歳の娘の顔が二十八歳の妻の顔に似ているのは、まるで嘘のようであった。
彼は見合をすることにした。さすがに見合の席へはめかして行く気はしなかった。ネクタイも横っちょに結んで行った。妻のかたみの鏡台に、見合に行く顔をうつしも出来なかったのだ。
その娘は痩せて睫毛が長かった。そこが妻に似ていたのだ。両親がなく叔父の家に厄介になっているという娘で、どこかそんな風な暗い翳があった。