Japanische Klassiker mit Furigana
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じゃせいのしゅうねん
蛇性の執念
大倉 燁子
Lesen Sie 蛇性の執念 (じゃせいのしゅうねん) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.981 Zeichen · 38 Bildschirme
武雄さんって方がありますからね』
『武雄様はおよろしいんでございます』
『何故なの?』
お梶さんは暫時黙って考え込んで居りましたが、やがてさも云い憎そうに声をひそめて申しました。
『でも――。武雄様は――、御自分のお子さんなんでございますの』
私はこれを聞いて、事の意外なのに驚きました。
『もしそれが本当だとしたら、武雄さんは綾子さんに取って讐の片割じゃありませんか。無論綾子さんは御存じないんでしょうけれど――』
『綾子様はお可哀想でございます。御承知の通り武雄様が随分うるさくお附き纏いになったのを、嫌って嫌って、嫌いぬいて文夫様のところへ入らしたので、綾子様はあれでなかなか御苦労していらっしゃるんでございます。親御様達の無理強いで、武雄様との御再婚を御承知遊ばしたんですから、この上お気持ちをお悪くおさせすることは余りお可哀想で申せませんの』
『何だか、随分込み入った事情なんですのね』
『ですけれど――、誰一人私の外には事情を知った者はございませんのですから』
『では、真相を知っているのはお梶さんだけなんですか?』
『多分そうでございましょう。私は直接大奥様から一切の秘密を承って居ますから』