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Japanische Klassiker mit Furigana

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くものゆめ

蜘蛛の夢

岡本 綺堂

Lesen Sie 蜘蛛の夢 (くものゆめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 147.189 Zeichen · 298 Bildschirme

Aozora Bunko

「とうとう降って来たか。」

彼は起って軒下へ出ると、おもよも続いて出て来た。

「皆さまもさぞお困りでござりましょう。どうもこの頃は雨が多くて困ります。」

家の前にも横手にも空地があって、横手には小さい納屋がある。それにふと眼をつけたらしいおもよは急に声をかけた。

「そこにいるのはおらちではないか。さっきから姿が見えねえから、奥で寝ているのかと思っていたに……。この夜更けにそんな所で何をしているのだ。」

叱られて納屋の蔭からその小さい姿をあらわしたのは、おもよが改めて紹介するまでもなく、ことし十六になるという孫娘のおらちであることを、茂左衛門はすぐに覚った。おらちは物に怖じるような落ちつかない態度で、二人の前に出て来た。

「お城のお侍さまに御挨拶をしないか。」と、おもよはまた言った。

おらちは無言で茂左衛門に会釈して、あとを見かえりながら内にはいると、おもよは独り言のように、あいつ何をしていたかと呟きながら、入れ代って納屋の方へ覗きに行ったかと思う間もなく、老女は忽ちに声をとがらせた。

「そこにいるのは誰だよ。」

それに驚かされて、茂左衛門も覗いてみると、納屋の蔭にまだひとつの黒い影が忍んでいるらしかった。