Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くも

蜘蛛

豊島 与志雄

Lesen Sie 蜘蛛 (くも) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.640 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

風のために巣の破けることが多かった。餌も不足がちのように見えた。早朝仄暗い頃、蚊の類の小さな羽虫が沢山引っかかってる破れ巣の横糸を食ってしまい、新らしい完全な巣を張ってしまうのを見定めて、私はそれに投げ与えるべき大きな昆虫を、どんなにか探し廻ったことだろう。そのために幾日か、太陽と共に起き上ったものである。

そして凡そ十日ほど過ぎた或る日の午後、私は一つの蜘蛛の巣に珍らしい光景を見出した。巣の中心から少し下の方に、蜘蛛がじっと動かないでいる。その一本の足に、羽の黒い足の長い赤蜂が、喘ぎながら一生懸命に喰いついている。蜘蛛は後ろ向きになったまま動かない。蜂は全身の力を口に籠めて、足先で蜘蛛の巣を払い落そうとしている。蜘蛛の足が喰い切られるか、蜂の足が巣の糸に絡まってしまうか、恐らく必死の努力であろう。

私は一人気を揉んだ。勿論蜘蛛に味方してである。然し迂濶に手出しは出来ない。やがて、蜂がぱっと飛んで逃げようとした。とたんに、蜘蛛はくるりと向き直るが早いか、くり出す白糸で蜂を絡めた。次にはもう、蜘蛛の足先でくるくる廻転されてる真白なものに過ぎなくなった。