Japanische Klassiker mit Furigana
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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme
弁当はふしぎにうまかった。これは少女奥テル子の作った弁当なのだが、鮭の燻製をヘビの皮を剥ぐような思いで、赤い身を口にくわえては噛んでいた。汽車も乗客も益々熱い、頭の中を箒で掃く奴がいる。そのため髪をぼうぼうにして私は列車のはばかりに通うのだが、いま行ったばかりなのにまた出掛けようとするのには、乗客の手前があって私はじれじれしていた。英語の推理小説を読んでいる女が真向いにいて、すらすら読めるのか読めないのか判らないが、その女が俯いているので縹緻のほどはわからない、只、はばかりに行こうとするのを邪魔立てしている眼の位置なのだ。立つとすれば彼女の眼の正面に立たねばならない、私は益々熱くなって何かまうものか、他人がどう見ようが私はしたいからしにゆくのだ、他人の考えは他人のむねの中で勝手にひろげていた方がよいと、私は敢然と立って出かけたがその後で直ぐ汽車の中にいるためか神経がいら立って、残尿はゆるく、焚火のもえ残りのように燻りはじめた。奥テル子は用意してきた小型のしびんの包みを下ろして、かまわないからわたくしが屏風になりますからなさいましといった。私の額がくらくらして光るのを見てそういうのだ。