Japanische Klassiker mit Furigana
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われはうたえども やぶれかぶれ
蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
室生 犀星
Lesen Sie 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ (われはうたえども やぶれかぶれ) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.726 Zeichen · 90 Bildschirme
安西博士は膀胱には大した故障はない、これはこのままカテーテル療法が適当だと言い、少しも勿体ぶった診察をしなかった。その正直な表現とは反対にいままでよりかカテーテルの挿入が深くはいったらしく、疼痛は烈しく私に身震いをさせた。一たい先刻の毛はどのあたりにあるのかと、眼隠しの下から覗こうとしたが看護婦の背中が邪魔をして、その毛の包みが見られなかった。包みというが恐らく包んでなんかなくて直ぐにゴミと同様に焼却されるものであろうが、博士と看護婦達が手術器類をのせたアルミの手押ぐるまと一緒に、病室から出て行った時に何となく私はその毛だけは置いてゆかせようと井荻看護婦に、烈しい声音を立てて本気になって言った。先刻刈り取った毛をみんなの知らないあいだに、受持看護婦にだけそう言って取って来てください、博士や主治医には気がつかないように言うんだと、私は井荻の顔を睨むようにしたが、彼女は私の顔をまじまじと眺め入り、その中に惘れた物言いにたいする茫然の気味までたたえて見せ、次には薄ら笑いが悄んぼりとのぼった。彼女は言った。そんな馬鹿なことがどうして言えますか。あんな物を取って置こうなんて言った患者さんなんて、世界にも恐らく一人もないでしょう。