Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
と栞は云って、膝の上で、長い袖を弄んだ。紅色の勝った、友禅模様の袖は、いろいろの落花の積み重ねのように見え、それを弄んでいる娘の、白い、細い、柔らかい指は、その花の積み重ねを、出たりはいったりする、蚕かのように見えた。
「家とは?」
「紙帳のことですの」
「ははあ」
と云ったが、左門は、(いいことを云ってくれた)と思った。(紙帳こそ、俺の家であり巣なのだからなあ)
また左門はいい気持ちになった。そこで膝を崩し、手を懐中へ入れ、ノンビリとした姿勢となった。
「紙帳といえば、妾がお釣りしたのでございますの」
栞は云いつづけた。
「妾、林を散歩して、ここまで参りましたところ、紙帳が落ちていたではございませんか……最初は、本当は、気味悪かったのでございますのよ。……でも、見ているうちに、釣りたくなりましたので、釣りましたところ、今度は、はいってみたくなりました。……はいりましたところ眠くなりました。そこで妾、眠ったのでございますわ……」
「ははあ」と左門は云ったが、さては紙帳は、あの夜、お浦によって、武蔵屋の庭から外へ運び出され、それから、何かの理由で――風にでも吹かれ、ないしは、お浦自身ここまで持って来て、棄てて立ち去ったのかもしれないと思った。