Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
悪罵と怒号とが林を揺すり、乾児たちの抜いた、二十数本の脇差しが、湾に寄せた怒濤が、高く上げた飛沫のように白光った。そう、五郎蔵たちの一団は、紙帳を背後にし、この時ようやく這い寄り、足へ縋り付いたお浦を、縋らせたまま、蒼白の顔色をし、刀を構えて立った頼母を、引っ包んで討ち取ろうと、湾のように左右に開き、立ち向かったのであった。
「頼母様アーッ」とお浦は叫んだ。「妾ゆえに、お気の毒なこの憂き目! ……想われたあなた様の因果! さぞ妾が憎いでございましょう! ……一思いにその刀で、妾をお殺しくださりませ! ……あなた様に殺されましたら、本望の本望! 頼母様アーッ」
頼母は切歯し、
「この場に臨んで、何を繰り言! 放せ足を! ……一大事の場合、邪魔いたすな!」
足を上げて蹴り、蹴られて、紙帳の裾に転び寄ったお浦を、帳中から手が出て、引き入れた。
瞬間、白刃が、十数本、頼母に降りかかった。
それを頼母は、左右前後に、切り、防ぎ、そうして退き、ジリジリと退き、松の木の幹に背中をもたせ刀を構え、大息を吐き、八方へ眼をくばり、
(俺は、これから、どうなるのだ?)
と思った。