Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちまんだらしちょうぶし

血曼陀羅紙帳武士

国枝 史郎

Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme

Aozora Bunko

。

「ナニ、掛け代えのない大切の頼母様?」

と、お浦は、はじめて栞へ眼をつけたが、

「汝ア何者? ……見ればまだ小娘! ……それなのに、妾の、頼母様のことを! ……」

気も遠々に、次第に地面へ伏し沈もうとする体を、またも猛然と揺り起こし、しかし、立ち上がる気力はなく両手を地に突き、栞の方へお浦は這い寄るのであった。

「さては汝は、頼母様に、横恋慕をしてこのお浦から……」

栞も今は一生懸命、胸を反らせ、膝を揃え、膝の上へ両手を重ね、毅然とした態度となったが、

「横恋慕などとは穢らわしい、そなたこそ誰じゃ? そなたこそ横恋慕! ……妾はこの土地の郷士飯塚薪左衛門の娘栞! ……頼母様とは将来を誓約った仲! ……邪まの恋などではござりませぬ! ……それを横恋慕などと! ……」

「吠くな小娘!」

と、お浦は、南国に住むという傘蛇が、敵に襲いかかるように、ユラユラと背延びをし、両手を高く上げたが、

「命取られるまでに折檻され、嬲り殺しにかけられたお浦、それも頼母様のため! これが邪まの恋か! ……おおおお、これが邪まの恋か! ……恋? なんの! 恋なものか! おおおお、恋などという生やさしいものは、妾にとっては、遠い昔の物語! ……真実の人間に復活ろうと、久しい間、男嫌いで通して来たものを! ……恋? それも邪まの恋? ……何