Japanische Klassiker mit Furigana
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ちまんだらしちょうぶし
血曼陀羅紙帳武士
国枝 史郎
Lesen Sie 血曼陀羅紙帳武士 (ちまんだらしちょうぶし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 88.970 Zeichen · 176 Bildschirme
それだのに賭金を引こうともせず、依然として三の目へ張り、
「壺!」と怒鳴っているのであった。
客人たちは囁き出した。
「お侍さんだけに度胸があるねえ」
「今度三が出たらどうなると思う」
「胴親が、四倍の、五百両を附けるまでよ」
「元金を加えて、六百二十五両になるってわけか」
「それじゃア、五百両胴は潰れるじゃアねえか」
染八という乾児が中盆をしていたが、途方にくれたように、五郎蔵の顔を見た。と、この時まで、小面憎そうに、勝ち誇っている浪人を、睨み付けていたお浦が、
「親分」と例の五郎蔵へ囁いた。
「喜代三を引っ込めなさいよ」
喜代三というのは、壺振りの名であった。
「喜代三にゃア、三が振り切れそうもないじゃアありませんか」
「大丈夫だ」
五郎蔵の声は自信に充ちていた。
「天国様が附いている」
それから神棚の方へ頤をしゃくったが、「五郎蔵の賭場、一度の疵も附いたことのねえのは、天国様が附いているからよ。喜代三、勝負しろ」
(天国様?)
と、五郎蔵の言葉を小耳に挾んで、不審を打ったのは、頼母で、
(それじゃアあの神棚には、天国の剣が祭ってあるのか?)
改めて神棚を眺めた。燈明の火が明るく輝き、紫の幕が、華やかに栄え、その奥から、真鍮の鋲を持った祠の、扉が覗いていた。