Japanische Klassiker mit Furigana
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らしんのにょせん
裸身の女仙
野村 胡堂
Lesen Sie 裸身の女仙 (らしんのにょせん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.437 Zeichen · 29 Bildschirme
海藻を綴ったような、恐ろしい襤褸が、二三枚無いことはありませんでしたが、五月になるとそれを剥がれて、陽の当るうちは、岩の上でも、藪の中でも、赤裸で暮らさなければならないお鳥だったのです。
お鳥は時々谷川の水鏡を見て、次第に美しくなって行く自分の肢体と、山人達や、たまに里から来る人間と自分との間に、恐ろしい差違のあることを覚り始めました。赤い毛、碧い眼、円い滑らかな顎、伸々した四肢、美しい皮膚など、岩吉はもとより、此辺で見かける人達とは、まるっきり違ったものです。
もう一つ、お鳥の悩みは、自分を育ててくれた岩吉の態度が近頃すっかり変って了ったことでした。五月から十月迄、陽のあるうちは、着物を着せてくれないのは昔からで、別に不思議も何にもありませんが、お鳥の行く先々へ、執念深く附き纏う岩吉の眼の色が、今まで経験したことも無い、不思議な光を帯びて来るのが、お鳥に取っては、何よりも我慢の出来ない圧迫でした。
「着物を着せておくれよう」お鳥は時々そんな事をせがみましたが、
「うんにゃ、ならねえ、若え者が今のうちから着物を着たら、冬になったら、何うするだ」
岩吉の調子には、一縷の妥協性もありません。