Japanische Klassiker mit Furigana
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ふくめんのぶとうしゃ
覆面の舞踏者
江戸川 乱歩
Lesen Sie 覆面の舞踏者 (ふくめんのぶとうしゃ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.827 Zeichen · 30 Bildschirme
堅く言葉を発することを禁じられた私達は、まるで唖者のように黙々として、杯を満たしては飲み、満たしては飲みしました。婦人達も勇敢に葡萄酒のグラスをとるのでした。
それは可なり強烈な酒であったと見え、間もなく私は烈しい酔を覚えました。相手の婦人に、葡萄酒をついでやる私の手が、瘧のように震えて、グラスの縁がカチカチと鳴りました。私は思わず変なことを怒鳴りそうになっては、慌てて口をつぐみました。私の前の覆面の女は、口までも覆った黒布を片手で少し持上げて、つつましく杯を重ねました。そして、彼女も酔ったのでしょう。覆面をはずれた美しい皮膚は、もう真赤になっておりました。
そうして、彼女を見ている内に、私はふと私のよく知っている、ある人を思い浮べました。彼女の頸から肩の線が、見れば見る程、その人に似ているのです。しかし、その私の知っている人が、まさかこんな場所へ来る筈はありません。最初から、何となく見たようなと感じたのは、恐らく私の気の迷いに過ぎなかったのでしょう。世の中には、顔でさえも瓜二つの人があるくらいです。姿勢が似ていたからとて、迂濶に判断を下すことはできません。