Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Lesen Sie 註文帳 (ちゅうもんちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.770 Zeichen · 67 Bildschirme
「お若さん、御挨拶をなさいましなね、」
お若は莞爾して何にも言わず、突然手を支えて、ばッたり悄れ伏すがごとく坐ったが、透通るような耳許に颯と紅。
髷の根がゆらゆらと、身を揉むばかりさも他愛なさそうに笑ったと思うと、フイと立ってばたばたと見えなくなった。
客は手持無沙汰、お杉も為ん術を心得ず。とばかりありて、次の室の襖越に、勿体らしい澄したものいい。
「杉や、長火鉢の処じゃあ失礼かい。」
十六
「いいえ、貴下失礼でございますが、別にお座敷へ何いたしますと、寒うございますから。そしてこれをお羽織んなさいまし、気味が悪いことはございません、仕立ましたばかりでございます。」と裏返しか、新調か、知らず筋糸のついたままなる、結城の棒縞の寝ね子半纏。被せられるのを、
「何、そんな、」とかえって剪賊に出逢ったように、肩を捻るほどなおすべりの可い花色裏。雪まぶれの外套を脱いだ寒そうで傷々しい、背から苦もなくすらりと被せたので、洋服の上にこの広袖で、長火鉢の前に胡坐したが、大黒屋惣六に肖て否なるもの、S. DAIKOKUYA という風情である。
「どうしてこんな晩に、遊女がお帰しなすったんですねえ、酷いッたらないじゃアありませんか、ねえお若さん。