Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゅうもんちょう
註文帳
泉 鏡花
Lesen Sie 註文帳 (ちゅうもんちょう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.770 Zeichen · 67 Bildschirme
、他ならば可いが、芳原へでも行くと危い。お出かけさきへ行ってお渡し申せ、とこれを私にお預けなさいましたから、腕車で大急ぎで参りました。
何でも広徳寺前辺に居る、名人の研屋が研ぎましたそうでございますからッてね、紫の袱紗包から、錦の袋に入った、八寸の鏡を出して、何と料理屋の玄関で渡すだろうじゃありませんか。」と少年は一呼吸ついた。お若と女中は、耳も放さず目も放さず。
「鏡の来歴は叔母が口癖のように話すから知っています。何でも叔父がこの廓で道楽をして、命にも障る処を、そのお庇で人らしくなったッてね。
私も決して良い処とは思わないけれども、大抵様子は分ってるが、叔母さんと来た日にゃあ、若い者が芳原へ入れば、そこで生命がなくなるとばかり信じてるんだ。
その人に甘やかされて、子のようにして可愛がられて育った私だから、失礼だが、様子は知っていても廓は恐しい処とばかり思ってるし、叔母の気象も知ってるんだけれども、どうです、いやしくも飲もうといって、少い豪傑が手放で揃ってる、しかも艶なのが、まわりをちらちらする処で、御意見の鏡とは何事だ。
そうして懐へ入れて持って帰れと来た日にゃあ、私は人魂を押つけられたように気が滅入った。