Japanische Klassiker mit Furigana
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ひんぷこうふこう
貧富幸不幸
幸田 露伴
Lesen Sie 貧富幸不幸 (ひんぷこうふこう) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.021 Zeichen · 12 Bildschirme
人々回顧を試みよ。幼年時代少年時代より壮老に及んで、自己の最大喫緊事件たる食物に於ける嫌がる嫌がらぬと好く好かぬとの変化遷移に驚かぬものは無かろう。初めは何人と雖も甘いものを好み、漸く成長するに及んでは、砂糖の多い物即ち美味なりとするが如き幼穉の境を蝉脱して、甘味即美味の妄なるを不知不識の間に会得し、また幼穉の時代に於て嫌がった多くの物に於て嘆美すべき真味の佳なるものの存することを認めるに至るであろう。
嫌がる嫌がらぬというは主観的である。そしてこの主観的のそれはただその時に於てのみ真である、他の時に於ては真で無くなるのは争うべからざる事実である。しかし時間に於て持続し、多数間に於て相同じき時は、牢として抜くべからず、儼として動かす可からざるものの如く見え、習慣的惰力を生ずるに至るのもまた争う可からざる事実である。貧を嫌がり、その嫌がるところの貧に附纏われ勝なところから、貧即不幸と感ずるのもこの理によるのである。が、貧と不幸とは必ずしも徹頭徹尾取離すことの出来ぬ関係にあるものでは無い。甘味即美味とする幼稚の味覚と、富即幸福とする多数人の考とは、事情が甚だ酷く相肖ている。