Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
魚売店からきたなく臭い水がごろた石の間を流れた。市場の古いごろた石道はきつい日に照らされて表面だけ白っぽくかわいて見えても、石と石との隙間の奥にはいつも黒いぐしゃぐしゃした泥濘がある。ナースチャは時々、そのごろた石と石との隙間に靴の踵をかまれてよろけながら、眼をつき出し、愉快そうにアンナ・リヴォーヴナのあとから店々をのぞいて歩くのであった。
頭上の大板へ葡萄と林檎を盛った男が、長靴を鳴らし人をかきわけてやって来た。女がその肩にぶつかった。
「ヘーイ、ヘイ! ばかやろう!」
いそいでよけた女の顔の前へ、てのひらにのせた鶏をつき出して、横歩きをしつつ髯の大きな男が熱心につばきをとばしてしゃべった。
「奥さん、じゃいくらならいいんだね。見なさい。こりゃ本当のヒナですぜ、けさつぶした」
赤い羽根付の帽子をかぶった女は止らず歩きつづけた。
「だから、もう云ったよ。八十五カペイキ!」
「もう十カペイキだけ! あんたにとってこれっぽっち同じじゃないか」
「同じなら、お前さん負けとき」
「わたしのを買って下さいよ、ね奥さん」
更紗のプラトークをかぶった女が、その時やっぱり手に毛をにぎったひどくひねた鶏をのせ、人かげから、歩いてゆく女の前に現れた。