Japanische Klassiker mit Furigana
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あかいかしゃ
赤い貨車
宮本 百合子
Lesen Sie 赤い貨車 (あかいかしゃ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 35.168 Zeichen · 71 Bildschirme
ナースチャは洗濯をした。ふだんの洗濯のほかに、アンナ・リヴォーヴナが去年の復活祭から枕にかけたレースや、食卓覆い、カーテンを洗った。台所の外についている露台に石油焜炉を持ち出し、洗濯物をにては盥のなかでもむ。オルロフが、すべるように猫背でやって来た。台所の戸は、箒をつっかって開け放しだ。そこから露台に向って彼は、例の口調で、
「ナースチャ、いつお前の手がすくだろうかね」
ナースチャは、背を向けたまま答える。
「三時間かかります」
一年じゅうの洗濯をしてしまわなければならぬ。働きながら、時々ナースチャは石鹸水でふやけた手を露台の上からふって笑った。露台の上から、下の中庭越しに塀が見えた。塀のじゃかじゃか出た針金越しに別の建物の平屋の翼が見下せた。パン屋の仕事場がそこにあった。開いた窓に向ってパンこね台があった。白帽をかぶり、帽子ほどは白くない仕事着をきた職人が四人働いていた。ナースチャが去年の夏来た時にもそのパン工場がやっぱり見えた。間もなく永い冬が来てその窓は閉まり、やがて凍ってなにも見えなかった。
再び春だ。職人の顔ぶれが少しちがったとしても、それがなんであろう。