Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.864 Zeichen · 44 Bildschirme

Aozora Bunko

七

おくには気持がよほどおくてだったのだろう、夫婦とはどういうものか、よく知らないままで富三郎の妻になった。

そうして、うちの中が荒れだした。

もちろん珍らしい話ではない。母親はおくにと夫婦にすることで、富三郎を繋ぎ留めようとしたのだ。もう四十ちかい年になって、こののち彼のほかに頼る男ができようとも思えない。彼女にとってはそれが唯一の手段だったのである。けれども、女として成熟のさかりにあった彼女は、男を繋ぎ留めたと同時に、激しい嫉妬に悩まなければならなくなった。

おくにはそのことを語った。

七

富三郎と夫婦になってから、まる二年経った冬の或る夜、――おくには彼と母親との仲を初めて知った。

神谷町のその家は、店の奥に六帖が一と間あるだけで、夫婦と母親とは枕屏風を隔てて寝ていた。そのころになっても、おくには寝屋ごとがまだわからず、ただ厭わしいのをがまんしているだけであった。その夜も同じことのあとで、だが、いつものようにすぐには眠れず、芯に火の燃えているような躯と、苛だたしく冴えた気持をもてあましていると、やがて、富三郎を呼ぶ母の声がした。――彼はよく眠っており、母は二度、三度と呼んだ。