Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme
そんなことを云いながら、おかねはひょろひょろと部屋からよろけ出し、廊下の向うへ去っていった。
「どうもいけない」去定は口の中でぶつぶつと云った、「ちかごろどうも調子がおかしい、あんなにどなったり卑しめたりすることはなかった、あの女は無知で愚かというだけだ、それもあの女の罪ではなく、貧しさと境遇のためなんだから」
「私はそうは思いません」と登がいった。
去定は眼をあげて登を見た、「おまえが、そう思わないって」
「貧富や境遇の善し悪しは、人間の本質には関係がないと思います」と登は云った、「私は先生の外診のお供をして、一年たらずの期間ですがいろいろの人間に接して来ました、不自由なく育ち、充分に学問もしながら、賤民にも劣るような者がいましたし、貧しいうえに耐えがたいくらい悪い環境に育ち、仮名文字を読むことさえできないのに、人間としては頭のさがるほどりっぱな者に、幾人も会ったことがございます」
「毒草はどう培っても毒草というわけか、ふん」と去定は云った、「だが保本、人間は毒草から効力の高い薬を作りだしているぞ、あのおかねという女は悪い親だが、どなりつけたり卑しめたりすればいっそう悪くするばかりだ、毒草から薬を作りだしたように、悪い人間の中からも善きものをひきだす努力をしなければならない、人間は人間なんだ」