Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme
登は沈黙した。
「仁術どころか、医学はまだ風邪ひとつ満足に治せはしない、病因の正しい判断もつかず、ただ患者の生命力に頼って、もそもそ手さぐりをしているだけのことだ、しかも手さぐりをするだけの努力さえ、しようとしない似而非医者が大部分なんだ」
「それでもなお」と登が云った、「私を出して津川を戻そうと仰しゃるのですか」
「それとこれとは話が違う」
「違わないことは先生御自身が知っておいでです」と登は云った、「はっきり申上げますが、私は力ずくでもここにいます、先生の腕力の強いことは拝見しましたが、私だってそうやすやすと負けはしません、お望みなら力ずくで私を放り出して下さい」
「おまえはばかなやつだ」
「先生のおかげです」
「ばかなやつだ」と去定は立ちあがった、「若気でそんなことを云っているが、いまに後悔するぞ」
「お許しが出たのですね」
「きっといまに後悔するぞ」
「ためしてみましょう」登は頭をさげて云った、「有難うございました」
去定はゆっくりと出ていった。