Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme
二
――白痴らしいな。
登は舌打ちをしたいような気持でそう思った。
二
去定がはいってきて坐り、娘と問答を始めた。娘の名はおえい、年は十九歳。さっきの女は母親でおかねといい、父親は三年まえから行方知れずである。おえいの上に姉と兄が二人、下に弟と、妹が二人いる。おえいは十歳のときから、下谷池之端仲町の「近六」という、蝋燭問屋に奉公していたが、妊娠したので暇を出され、いまは市谷舟河原町の親の家にいる、ということであった。――これだけのことを云うのに、おえいは舌がよくまわらず、しばしば黙りこんだり、同じことを三度も繰り返したりした。訊かれたことに答えるのが非常に苦痛らしく、額をぬぐったり、口のまわりを手の甲で(涎でも出ているように)擦ったりした。
――やっぱり白痴だ、登はまたそう思った。
おえいは「近六」で下女奉公をしているうちに妊娠したが、男が誰だかわからない。暇を出されて帰った家は、その日のくらしがかつかつであるし、また頭の悪い娘に子を産ませたくない。という母親の望みで、子をおろしてくれるようにと、養生所へ頼みに来た。去定はこれまでにも、事情によってはすすんで子おろしをした。