Japanische Klassiker mit Furigana
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せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
Lesen Sie 赤外線男 (せきがいせんおとこ) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.889 Zeichen · 78 Bildschirme
「だッ誰かッ」
夜勤の署員たちは、熊岡の声に、一斉に入口の方を見た。しかし今しがたまでギーッ、ギーッと動いていた重い扉はピタリと停って巌のように動かない。
「うぬッ」
熊岡警官は席を離れると、ズカズカと入口の方へ飛んでいった。そして扉に手をかけると、グッと手前へ開いた。そこには外面の黒手のような暗闇ばかりが眼に映った。
「オヤー」
熊岡警官は、何を見たのか扉の間からヒラリと戸外に躍り出た。バタンと扉はひとり手に閉まる。一秒、二秒、三秒……。空間も時間も化石した。
風船がパンクするように戸口がサッと開いた。
「さア、こっちへ這入れ!」
熊岡警官の怒号と諸共、黒インバネスを着た一人の男が転げこんできた。署員は総立ちになった。「何だ、何だッ」
昨夜とは違った当直の前にその男はひき据えられた。帽子を脱いだその男の顔を見て、駭いたのは熊岡警官だった。
「なあーンだ。君は妹の轢死体を引取って行った男じゃないか」
「うん、隅田乙吉だな」見識り越しの刑事も呻った。「どうしたのか」
たしかにそれは、隅田乙吉だった。昨夜の悠然たる態度に似ず、非常に落着かない。何事か云いだしかねている様子だった。