Japanische Klassiker mit Furigana
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ちょうじんひげのはかせ
超人鬚野博士
夢野 久作
Lesen Sie 超人鬚野博士 (ちょうじんひげのはかせ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.054 Zeichen · 117 Bildschirme
吾輩は実をいうとこの時に内心頗る狼狽したね。タッタ今歯で引抜いた黒い毛は、どこかへ吐き出すか嚥込むかしてしまっている。よしんば歯の間に残っていたにしたところが、アンナ黒い毛がタッタ一本、親方の禿頭の中央に生えている事実を知っていたものは、事によると吾輩一人かも知れないのだから、トテモ証拠になりそうにない。のみならずコンナ荒っぽい連中は一旦そうだと思い込んだら山のように証拠が出て来たって金輪際、承知する気づかいは無いのだから、吾輩はスッカリ諦らめてしまった。コンナ連中を片端からタタキたおして、逃げ出すくらいの事は何でもないとも思ったが、親方の死骸を見ると妙に勇気が挫けてしまった。
「……ヨシ……文句云わん。タタキ殺してくんな。……その代り親方と一所に埋めてくんな」
「……ウム。そんなら慥かに貴様が親方を殺したんだな」
「インニャ。殺したオボエは無い」
「この野郎。まだ強情張るか……」
と云ううちに、青竹が吾輩の横っ腹へピシリと巻付いた。
「警察へ渡す前に親方のカタキを取るんだ。覚悟しろ……」
「何をッ」
と吾輩は立上った。親方のカタキという一言が吾輩を極度に昂奮させたのだった。