Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぐんこくかようしゅう
軍国歌謡集
山川 方夫
Lesen Sie 軍国歌謡集 (ぐんこくかようしゅう) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 39.655 Zeichen · 80 Bildschirme
そのとき、彼はなんというだろうか? もし、明晩を待つと彼がいったら、私はそれがすでに二十日も前から聞こえないのだと曝露してやる。彼は、怒って私を打つだろうか、打たれてもよい、と私は思っていた。それだけのことはあるのだ。しかし、私を打って、そして幻影が現実になるものか。彼は、彼の生きていたのが「愛」ではなく、じつはたんなる私の「嘘」だったのに気づくはずだ。その彼の失墜の瞬間こそ、私が彼の中に、彼流にいう私の「場所」を発見できる唯一の瞬間になるのだ。……
私は、毎日を、そんな残酷な期待の中で暮していた。かならず十時まえには下宿の部屋に戻り、大チャンの帰宅を待った。だが、大チャンの帰宅は、あいかわらず毎夜十二時をまわっていた。真相を知るのがこわくて、それでわざと帰宅を遅らせているのではないだろうか、といつも私は思うのだが、でも帰ってきた大チャンは、例のてかてかと光る肉の厚い顔の表情をくずしながら、まずその夜の歌をたしかめ、うきうきした声音で、さもたのしげに明日の歌を予告するのだ。その習慣をかえなかった。
だから、大チャンはまだ真相を知らなかった。すくなくとも、知らないはずの日々がつづいていたあいだだった。