Japanische Klassiker mit Furigana
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うんめいのままに
運命のままに
豊島 与志雄
Lesen Sie 運命のままに (うんめいのままに) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.406 Zeichen · 57 Bildschirme
そして其処に二年ばかり勤めていたが、朋輩にすすめられてある宿屋の女中にはいった。その後間もなく「おきな」に住み換えたのだそうである。
「でもまた此処を出たいと思っているの。」と彼女は私に云った。
「今度は何処に行くんだい。」
「何処だかまだきまらないのよ。」
そしてお島は種々なつらい話をしたり、嫌なお客の振舞を話したりして、淋しい笑顔を作った。
私はそんな話に少しも心を煩わされることなく聞いたものだ。そして私が黙り込むと、彼女も黙ったまま時々銚子を取り上げた。私は彼女に対して何の気兼も心置きもしなかった。
或時お島は私に是非名前と処とを知らしてくれと云った。で私はすぐにそれを教えてやった。
「まあお近いわね。」と云って彼女は喫驚したような眼付をした。
そして私に河田しまと小さく印刷した名刺を一枚くれた。
私が帰る時に彼女は「遊びに上ってもよくって?」と云った。
「ああよかったらお出よ。」
「あなたは黙っていらしてさっぱりしているからいいわ。でも苦労性だわね。」
私は苦笑して其処を出た。
それから暫くしてお島はある日の午後私の下宿に訪ねて来た。私達はこれと云って話題を持たなかった。