Japanische Klassiker mit Furigana
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えんぽうのはは
遠方の母
小川 未明
Lesen Sie 遠方の母 (えんぽうのはは) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.382 Zeichen · 7 Bildschirme
そして、小さな指で、うちわに描かれた、女の人を指さして、
「お母ちゃん、……お母ちゃん。」と、かわいらしい声を出して、正ちゃんはいったのです。
絵は、もとよりなんの言葉もありませんでした。しかし、正ちゃんは、絵のお母さんが、笑ってでも見えるのか、ひとり、声をたて、自分で笑って、なぐさめられたのであります。
夏でありましたから、ちょうどうちわの絵のように夕焼けのした景色が、町の中でも見られました。そのうちに、だんだん夏も終わりに近づいたのです。
暑さを忘れるようになると、だれでも、うちわを粗末にします。たいていうちわというものは、その年だけしか使用しないからです。女中も、やはりその一人でありました。ある日のこと、勝手もとで、しちりんに鍋をかけて煮物をしていましたが、その焼けた鍋を下ろすときに、正ちゃんの好きなうちわだという考えもなく、その上におろしました。そのために、うちわの絵の描いてある表が、赤黒く焦げてしまったのです。そして、正ちゃんのお母さんも焦げてしまいました。
「お母ちゃん、……お母ちゃん。」と、正ちゃんがいったときに、女中は、その焦げたうちわを取り上げて、いまさら、自分の無分別をば、深く心に恥じながら、これを正ちゃんに渡しますと、正ちゃんは、おどろいて、そのうちわを見つめていましたが、ばたりと手から