Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えんぽうのはは

遠方の母

小川 未明

Lesen Sie 遠方の母 (えんぽうのはは) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 3.382 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

正ちゃんは、三つになったときに、はじめて自分には、お母さんのないことを知りました。それは、どんなにさびしかったでありましょう。みんなに、お母さんがあるのに、どうして、自分にばかり、お母さんがないのか? それで、正ちゃんは、女中の脊中におぶわれながら、

「お母ちゃん、……お母ちゃん。」と、小さな掌で、女中の肩のあたりをたたきながら、呼びました。

それは、「私には、ほかの子供たちのように、やさしいお母さんがないの?」と、たずねていることがよくわかりましたので、女中は、

「坊ちゃんのお母さんは、ののさまになってしまわれましたのですよ。」といって、青い空の方を指したのであります。

しかし、ののさまということも、また、ののさまになれば、空へ上ってしまわなければならぬということも、まだ正ちゃんには、わかりませんでした。いろいろとかたことまじりに、女中に問いましたので、彼女は、

「坊ちゃんのお母さんは、遠いところへいってしまわれたのですよ。」と、哀れな子供に、説いて聞かせなければならなかったのです。

彼女には、どうしても、このとき、死んでしまったということが、あまりに、子供に対して、いじらしくていえなかったのでした。