Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
午後、私は野口君の誘いにくるのを待って、じっとしていると、町を芝居の寄太鼓をたたいて通った。芝居も今夜からはじまるのだ。
夜は雪が降り出した。その中を私達は四五人連れでその芝居を見に行った。更けてから帰ってくると、見る間にすっかり雪が積っていた。静かに、ああこの町は眠り切っている。静かな中に何物か大きな足で、町の上を歩いて行くのであるようだ。私は歩きながら、野口君に、
「雪国だね。」と言った。
「まだ今日は風がないから。」と野口君は答えた。
宿に帰って、私は寝ようとして、寂然とした心持ちになると、隣室の人達が計画している音楽会が、この今夜のように静かに眠っている町に、何か新らしい波紋を起こそうとしているように思われる。
で、心に隣室の人の顔を思い浮べて、しみじみとこう思った。文明の悪い波の端が、押し寄せて来ようとしているのだ。こんなところの女までがおだてられて、仕事の真似をするのか……と。
七
つぎの夜、私の室にまた三人の青年が集まった。その中の一人がこんな話をした。
「今日昼になす、裏町では(遊廓のある町)大騒動だった。昨夜の役者が一同で大浮かれさ。