Japanische Klassiker mit Furigana
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とおのへ
遠野へ
水野 葉舟
Lesen Sie 遠野へ (とおのへ) von 水野 葉舟 (みずのようしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 55.903 Zeichen · 117 Bildschirme
口も小さい。色が黒く、皮膚が荒い。何か重いものでも始終脊負わされて押し付けられて、育って来た人のようだ。
私は手持ち無沙汰なのをまぎらすために、
「お国はどちらです。」
と聞いた。すると、荻原は、
「え?…国ですか、国は花巻の方です。」
と言ったが、私には充分に聞き取れなかった。
「どちらですって?」
「花巻。」
「え?」
「花巻。」少し声が鼻にかかる。
「え?」
まだ聞き取れないので、聞きなおすと、きまりの悪るそうな顔をして口をつぐんでしまったが、しばらくすると、
「盛岡の方です。」
「あ、そうですか、では寒い方? そうですね。」
「え、そうです。」
それで話がとぎれたが、話しをしていると、こっちが苦しくって仕様がない程、言葉が引っかかる。するとその度に、唇を曲げて、からだ全体に力を入れるようにする。それで自然、話がぼつりぽつりととだえ勝ちになる。
私はまだこの男が何の用事を言い出すかと思って、その方を心では待っている。で、話がとぎれると、もう言い出すかと思って相手の顔を見る。しかし別にそんな気ぶりもなく、曇った日のような顔色をして、私に見つめられると、気の毒なくらい、眼のやり場に困って、もじもじしている。