Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
「国は新潟県です」
「遠い所なのね。新潟県は御米の出来る所でしょう。やっぱり御百姓なの」
「農、なんでしょう。――ああ新潟県で思い出した。この間あなたが御出のとき行き違に出て行った男があるでしょう」
「ええ、あの長い顔の髭を生やした。あれはなに、わたしあの人の下駄を見て吃驚したわ。随分薄っぺらなのね。まるで草履よ」
「あれで泰然たるものですよ。そうしてちっとも愛嬌のない男でね。こっちから何か話しかけても、何にも応答をしない」
「それで何しに来たの」
「江湖雑誌の記者と云うんで、談話の筆記に来たんです」
「あなたの? 何か話しておやりになって?」
「ええ、あの雑誌を送って来ているからあとで見せましょう。――それであの男について妙な話しがあるんです。高柳が国の中学にいた時分あの人に習ったんです――あれで文学士ですよ」
「あれで? まあ」
「ところが高柳なんぞが、いろいろな、いたずらをして、苛めて追い出してしまったんです」
「あの人を? ひどい事をするのね」
「それで高柳は今となって自分が生活に困難しているものだから、後悔して、さぞ先生も追い出されたために難義をしたろう、逢ったら謝罪するって云ってましたよ」