Japanische Klassiker mit Furigana
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のわき
野分
Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme
「うん。あの男は、わたしが、ここに見えないと門まで来て引き返すよ」
「なぜ?」
「なぜって、こんな所へ来た事はないんだから――一人で一人坊っちになる男なんだから――、ともかくもアーチを潜らせてしまわないと安心が出来ない」
「いらっしゃるんでしょうね」
「来るよ、わざわざ行って頼んだんだから、いやでも来ると約束すると来ずにいられない男だからきっとくるよ」
「御厭なんですか」
「厭って、なに別に厭な事もないんだが、つまりきまりがわるいのさ」
「ホホホホ妙ですわね」
きまりのわるいのは自信がないからである。自信がないのは、人が馬鹿にすると思うからである。中野君はただきまりが悪いからだと云う。細君はただ妙ですわねと思う。この夫婦は自分達のきまりを悪るがる事は忘れている。この夫婦の境界にある人は、いくらきまりを悪るがる性分でも、きまりをわるがらずに生涯を済ませる事が出来る。
「いらっしゃるなら、ここにいて上げる方がいいでしょう」
「来る事は受け合うよ。――いいさ、奥はおやじや何かだいぶいるから」
愛は善人である。善人はその友のために自家の不都合を犠牲にするを憚からぬ。夫婦は高柳君のためにアーチの下に待っている。