Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

「何と答えるったって、別に答えようもないから……」

「行けばいいじゃないか」

「行けばいいだろうが、ただはいかれない」

高柳君は元気のない顔をして、自分の膝頭へ眼を落した。瓦斯双子の端から鼠色のフラネルが二寸ばかり食み出している。寸法も取らず別々に仕立てたものだろう。

「それは心配する事はない。僕がどうかする」

高柳君は潤のない眼を膝から移して、中野君の幸福な顔を見た。この顔しだいで返答はきまる。

「僕がどうかするよ。何だって、そんな眼をして見るんだ」

高柳君は自分の心が自分の両眼から、外を覗いていたのだなと急に気がついた。

「君に金を借りるのか」

「借りないでもいいさ……」

「貰うのか」

「どうでもいいさ。そんな事を気に掛ける必要はない」

「借りるのはいやだ」

「じゃ借りなくってもいいさ」

「しかし貰う訳には行かない」

「六ずかしい男だね。何だってそんなにやかましくいうのだい。学校にいる時分は、よく君の方から金を借せの、西洋料理を奢れのとせびったじゃないか」

「学校にいた時分は病気なんぞありゃしなかったよ」

「平生ですら、そうなら病気の時はなおさらだ。病気の時に友達が世話をするのは、誰から云ったっておかしくはないはずだ」