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Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

冷やかなる石膏の暖まるほど、丸き乳首の、呼吸につれて、かすかに動くかと疑しまるるほど、女は瞳を凝らしている。女自身も艶なるヴィーナスである。

「そう」と女はやがて、かすかな声で云う。

「あんまり見ているとヴィーナスが動き出しますよ」

「これで愛の神でしょうか」と女はようやく頭を回らした。

あなたの方が愛の神らしいと云おうとしたが、女と顔を見合した時、男は急に躊躇した。云えば女の表情が崩れる。この、訝るがごとく、訴うるがごとく、深い眼のうちに我を頼るがごとき女の表情を一瞬たりとも、我から働きかけて打ち壊すのは、メロスのヴィーナスの腕を折ると同じく大なる罪科である。

「気高過ぎて……」と男の我を援けぬをもどかしがって女は首を傾けながら、我からと顔の上なる姿を変えた。男はしまったと思う。

「そう、すこし堅過ぎます。愛と云う感じがあまり現われていない」

「何だか冷めたいような心持がしますわ」

「その通りだ。冷めたいと云うのが適評だ。何だか妙だと思っていたが、どうも、いい言葉が出て来なかったんです。冷めたい――冷めたい、と云うのが一番いい」

「なぜこんなに、拵らえたんでしょう」