Japanische Klassiker mit Furigana
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ななこ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme
「ねい満蔵、ちょっとでもそんなうわさを立てられると、おとよさんのため、また省作のため、本当に困ったことになるからね。忘れてもそんなことを言うてくれるな。えいか」
「はア」
事はまじめになって話は火の消えたようになった。するとうわさを言えば影とやらで、どうやらおとよさんの声がする。竈屋の裏口から、
「背戸口から御免くださいまし」
例の晴ればれした、りんの音のような声がすると、まもなくおとよさんは庭場へ顔を出した。にっこり笑って、
「まあにぎやかなこと。……うっとしいお天気でございます。お祖母さんなんですか。あそうですか、どうもごちそうさま」
今まで唯一の問題になっていた本人が、突然はいってきたのだから、みんな相顧みて茫然自失というありさまだ。さすがの政さんも今までお前さんのうわさをしていたのさとは言いかねて、一心に繩をなうふうにしている。おとよさんはみんなにお愛想をいうて姉のいる方へ上がった。何か機の器具を借りに来たらしい。
やがて芋が煮えたというので、姉もおとよさんといっしょに降りてくる。おおぜい輪を作って芋をたべる。少しく立ちまさった女というものは、不思議な光を持ってるものか、おとよさんがちょっとここへくればそのちょっとの間おとよさんがこの場の中心になる。