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Japanische Klassiker mit Furigana

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ななこ

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (ななこ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.271 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

それだからおッ母さん心配しないでください」

これは省作の今の心の事実であるが、省作の考えでは、こういったら母の心配をいくらかなだめられると思うたのである。ところがそう聞いて母の顔はいよいよむずかしくなった。老いの眼はもう涙に潤ってる。母はずっと省作にすり寄って、

「省作、そりゃおまえほんとかい。それではお前、あんまり我儘というもんだど。おッ母さんはただあの事が深田へ知れては、お前も居づらいはずだと思うたに、今の話ではお前の方から厭になったというのだね。それではおまえどこが厭で深田にいられない、深田の家のどいうところが気に入らないかえ。おつねさんだって初めからお互いに知り合ってる間柄だし、おつねさんが厭なわけはあるまい。その年をしてただわけもなく厭になったなどというのは、それは全く我儘というものだ。少しは考えてもみろ」

省作はだまってうつむいている。省作は全く何がなし厭になったが事実で、ここがこうと明瞭に意識した点はない。深田の家に別に気に入らないというところがあるのではない。つまるところ省作の頭には、おとよの事が深く深く染みこんでいるから、わけもなく深田に気乗りがしない。