Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はまぎく

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (はまぎく) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.907 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

と頻りに云ってる。自分は点頭して得心の意を示した。母は自分の顔を見て危む風で「おまえ泊れるかい夜半時分に泣出しちゃ困るよ」と笑ってる。お松は自分が何と云うかと思うらしく自分の顔色を見てる。

「泊れるでしょう」

お松はこう云って熱心に自分に摺寄った。お松の母も頻りに「こんな汚ない家だけれど決して寒い思いはさせないから」と母に言ってる。母は自分の顔をのぞいて「泊れるかい」と云う。

「ねえやのとこへ泊れる」

自分がそういうと「さア極った」と云ってお松は喜んだ。そうしてお松は自分の膝の上へ抱上げて終った。

「おまえ泊れるかい」

母は猶念を押して「おまえが泊ると極ればお母さんは出かける、えいだっペねい」と云った。

「お母さんは行ってもえい」

自分がそういうと、母はいろいろ頼むと云う様な事を云って立ちかける。する処へ赤い顔の背の高い五十許りの爺が庭から、さげた手を振りつつ這入って来た。何かよく解らなかったけれど、今夜是非お松を頼みたいと云うような事を、勝手にしゃべって出て行った。お松が家の本家のあるじだという事であった。

「困ったなア困ったなア」

お松はくりかえしくりかえし云って溜息をついた。