Japanische Klassiker mit Furigana
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のはぎ
野萩
久生 十蘭
Lesen Sie 野萩 (のはぎ) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.480 Zeichen · 21 Bildschirme
その後、だいぶたってから、白耳義のスパや、瑞西のヴェーヴェなどで、邦子を見かけたというひとが、二三人あった。
滋子は、波のように揺れ揺れる萩の花むらを、眼を細めてながめながら、おなじ車におさまって、巴里の町なかを通るなどというのは、二人にとって、おそらくたった一度の油断だったのだろうが、それを見るはずもない安に見られたというのは、どういうことなのだろうと、つくづくと考え沈んだ。
杜松は、生き生きした顔つきになって戻ってくると、心のうれしさを包みきれぬといったようすで、
「山住さんからでしたのよ……そちらの昼食には間に合わないけど、かならず夕方までに帰るからと、おっしゃっていらっしゃいました」
「お世話さま……ずいぶん長いお電話でしたのね。なにか面白い話があって?」
杜松は身体をはずませながら、
「おあてになったわ。それは面白いお電話でしたのよ。山住さん、あんなにお笑いになったの、はじめてよ。そうして、あたしが電話を切ろうとしますと、もうすこし、もうすこしって……」
廊下に足音がして、女中たちが懐石膳を運んできた。
向は鯛のあらい、汁は鯉こく、椀盛は若鶏と蓮根、焼物は藻魚の空揚げ、八寸はあまご、箸洗いという献立で、青紫蘇の葉を敷いた鯛のあらいも、藻魚の附合せの紅葉おろしも、みな佗のある美しさだったが、安と向きあっ