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Japanische Klassiker mit Furigana

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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき

釘抜藤吉捕物覚書

林 不忘

Lesen Sie 釘抜藤吉捕物覚書 (くぎぬきとうきちとりものおぼえがき) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.625 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

そこに、たとえば縊れたような赤い痕が残っていて、なおよくみると、塵のような麻屑が生毛みたいに付着いている。藤吉は顔を上げた。その口は固く結ばれていた。その眼は異様に輝いていた。

「親分。」彦兵衛が帰って来た。「ぴったり合いやす。あれは八州屋の足形に違えねえ。」

「深かあねえか。」

「へえ、そう言やあちと――。」

「彦、仏を動かしてみな。」

孫右衛門は優形の小男、死んで自力はないものの、彦兵衛の手一つでずずっとひきずり得るくらい。

「重いか。」

「なあに、軽いやね。」

言いながら彦兵衛がまた一、二尺死骸をずらすと、下から出て来たのは血塗れの大鉞。磨ぎ透ました刃が武者窓を洩れる陽を浴びて、浪の穂のようにきらりと光った。藤吉は笑い出した。

「見ろ。はっはっは、犯人あ玄人だせ。急場にそこいら探ったって、これじゃあおいそれたあ出ねえわけだ。」

「親分、何か当りでも?」

「そうさな、まんざらねえこともねえが。」

と藤吉は両手を突いて屍骸の廻りをはいながら、

「臓物の割りにゃあ血が飛んでいねえ。いや、飛んじゃあいるが勢がねえ。」

つと藤吉は立ち上った。手の埃りを払って歩き出した。