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Japanische Klassiker mit Furigana

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どうせんかいじへん

銅銭会事変 短編

国枝 史郎

Lesen Sie 銅銭会事変 短編 (どうせんかいじへん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.745 Zeichen · 216 Bildschirme

Aozora Bunko

「ホホ、ホホ、ホホ、ホホ」

気味の悪いお米の笑い声が、すぐその後から追っかけて、こう座敷へ響き渡った時には、豪雄の勾坂甚内さえ何がなしにゾッと戦かれたのである。

夜が更け酒肴が徹せられた、甚内は寝間へ誘われたが、容易にお米の寝ないのを見るとちと不平も萠して来る。で、蒲団の上へ坐り、不味そうに煙草を喫い出した。

「お米」と甚内はやがて云った。「心に蟠まりがあるらしいの。膝とも談合ということがある。心を割って話したらどうだ。日数は浅いが馴染は深い。場合によっては力にもなろう。それとも他人には明かされぬ大事な秘密の心配事ででもあるかな?」

「はい」――とお米は親切に訊かれてついホロホロと涙ぐんだが、

「お父様の敵が討ちたいのでございます」

一句凄然と云って退けた。

「む」と、甚内もこれには驚き、思わず声を詰まらせたが、

「おおそれは勇ましいことだな。……で、敵は何者だな?」

「さあそれが解っておりさえしたら、こんな苦労は致しませぬ」

「父を討たれたはいつ頃だな?」

「五年前の極月二十日、初雪の降った晩のこと、霊岸島の川口町で無尽に当たった帰路を、締め殺されたそのあげく河の中へ投げ込まれ、死骸の揚がったはその翌日、その時以来家運が傾き質屋の店も畳んでしまい、妾はこうして遊女勤め、悲しいことでござります」