Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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にしきぎ

錦木

宮本 百合子

Lesen Sie 錦木 (にしきぎ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 52.481 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

と泣きながらも取り乱した風のないのを乳母は又「何と云うけなげな方だろう」と思った。女君は額髪をぬらしたまま被衣をかけて身じろぎもしないでいらっしゃるので乳母は今更のように悪い事をしたと思ってそっと几帳の間から中をのぞいてはホッと吐息をついて居た。日暮方、明障子を細めに小さい手がのぞいてパタリとかるくたおれたもの音にそれと察した。女達は美くしい錦木の主とつれない紫の君の上を思って自分がその人だったらなどと思う女もないではなかった。送られた女君はそれを一目細い目を開いて見ただけで童のおもちゃにと何にも知らない小供の手にゆずられるのであった。

(六)

長い間うつらうつらとして寝て許り居た光君は熱の高い時などにはききとれないような声で、

「紫の君、紫の君」

とうわごとを云うほどなので女達はみんな、

「何の因果のこんなうきめを見るのだろう」

とその声のきこえる毎にうつむいて額髪をぬらして居た。乳母などはその声をきくと一所にふるえた声で、

「何と云う方だろう、何と云う方だろう」

と云って西の対をにらんで居た。熱はなかなか下らないでうわごと許り云って居るので母君は心配して、