Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ながさきのかね

長崎の鐘

永井 隆

Lesen Sie 長崎の鐘 (ながさきのかね) von 永井 隆 (ながいたかし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.109 Zeichen · 131 Bildschirme

Aozora Bunko

私たちはそれからすぐに犬継地区の治療にとりかかった。今日はいよいよ体力の尽き果てた感じで、どうかすると、私たちがいちばん重症者じゃないかしら、患者はこんなにしゃべるのに、私たちは返事ひとつするのさえ考えるほどだ。死にゆく人は相つづく。今日あたりが怪我人の峠のようだ。戦争だ、頑張れ、と互いに励まし合って働く。

朝早く大学本部へ食糧補給に出かけていった長老が、まだ夕方早くあたふたと帰ってきた。米の袋と味噌の包みと罐詰とは大いに歓迎するところであったが、その後で口から出した情報こそは!

「戦争はすんだらしい!」

「……それで、条件は?」

「無条件降伏、ポツダム宣言全面受諾」

一同黙然。

「うそだろう」私がいった。

「市内は大混乱です。うそだといい張る者とほんとうだという者と。正午に重大放送がありました。ガーガー鳴ってよく聞き取れなかったけれど、『朕は…』とか『朕が』というみ言葉がちょいちょい混じっていたので、あれは陛下ご自身のお声だという人もあり、そうかと思うと憲兵隊がトラックで市中を乗り回して、正午のは敵側のデマ放送だから信ずるな、あくまで本土決戦だ、と怒鳴ったり、わけがわからぬのです。