Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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かげろうざ

陽炎座

泉 鏡花

Lesen Sie 陽炎座 (かげろうざ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.381 Zeichen · 67 Bildschirme

Aozora Bunko

……

――口惜しい――とお稲ちゃんが言ったんですって。根揃え自慢で緊めたばかりの元結が、プッツリ切れ、背中へ音がして颯と乱れたから、髪結さんは尻餅をつきましたとさ。

でも、髪結さんは、あの娘の髪の事ばかり言って惜がってるそうですよ。あんな、美しい、柔軟な、艶の可い髪は見た事がないってね、――死骸を病院から引取る時も、こう横に抱いて、看護婦が二人で担架へ移そうとすると、背中から、ずッとかかって、裾よりか長うござんしたって……ほんとうに丈にも余るというんだわね。」

「ああ……聞いても惜い……何のために、髪までそんなに美しく世の中へ生れて来たんだ。」

春狐は思わず、詰るがごとく急込んで火鉢を敲いた。

「ねえ、私にだって分りませんわ。」

「で、どうしたんだい。」

「お稲ちゃんは、髪を結った、その時きり、夢中なの。別に駈出すの、手が掛るのって事はなかったんだそうですけれど、たださえ細った食が、もうまるっきり通りますまい。

賺しても、叱っても。

しようがないから、病院へ入れたんです。お医者さんも初から首をお傾げだったそうですよ。

まあね。それでも出来るだけ手当をしたにはしたそうだけれど、やっぱり、……ねえ……おとむらいになってしまって――」