Japanische Klassiker mit Furigana
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あめのやまぶき
雨の山吹
山本 周五郎
Lesen Sie 雨の山吹 (あめのやまぶき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.433 Zeichen · 33 Bildschirme
と汝生は云った。
「――兵庫兄さまにも、あなたにも、こういう気持はおわかりにはなりませんでしょう、ゆたかで温かな家庭と、やさしい立派な御両親をもって、仕合せに暮していらっしゃる方には、悲しく傷ついた者、不幸な者の、傷の痛みや不幸の深さはわからないと思います」
汝生は云う、喜兵衛は気が弱く、あまりに善良であった。独立して一家をたて、妻を迎えたとき、彼は初めて幸福を手に入れたと思った。しかしその妻は子を産んで健康をそこね、やがて病むようになった。把んだと思った幸福は、彼の手の中で脆くも消えようとする。彼は狼狽した、みじめに狼狽した。妻の病気を治し家庭の幸福をとり戻すためには、どんな代価をも払おうとした。
兵庫や又三郎には、ただみれんでめめしいとしか、思えないであろうし、話しても理解はできないにちがいない。結果としては妻に死なれ、役所の金を使ったという事実だけが残った。彼は金のくめんに狂奔したが、ついにそれだけの都合がつかなかった。そして兵庫には、名乗って出て責任をはっきりさせろ、と云われた。
「あいつ、そんなことまで饒舌ったのか」
又三郎が堪りかねて云った。