Japanische Klassiker mit Furigana
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あまよぞうし
雨夜草紙
田中 貢太郎
Lesen Sie 雨夜草紙 (あまよぞうし) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.029 Zeichen · 14 Bildschirme
のだ、奴さん、そっと障子際へ寄って耳を立てると、むし笑いに笑う女の声がするが、それがどうしても細君だ、奴さん頭がかっとなるとともに、体が顫ひだしたがすぐ奴さんに自制力が出来た、
(ただ亢奮する時でないぞ)
と、奴さんは歯をくいしばったのだ、そして、耳を澄まして見ると、女の声は無くなって、父親が何か小さい声で話している声が聞える、
(しかし、あの笑い声は、たしかに彼だ)
奴さんは近比細君の行動の怪しいことから、傍の寝台にいなかったこと、むし笑いに笑った女の声が、たしかに細君の声であったことを思いだして、世界が暗くなったのだ、しかし、
(待てよ、このことは、己の身にとって、青木一家にとって、極めて重大な事件だ、これは、好く前後を考えたうえの所置にしなければならん)
と、奴さん稍精神がはっきりしたので、己の寝室へ帰って往ったのだ、そして、室の中へはいってみると、細君は己の寝台の上ですやすや睡っているのだ、奴さんは己の神経の狂で奇怪な幻を画いたことに気が注かないから、びっくりして眼をったのだ、そこで奴さんは、その晩のことは己の邪推であったと思う