Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ゆきのうえのしも

雪の上の霜

山本 周五郎

Lesen Sie 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.586 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

「実は医者のすすめで、もう少し湯治を続けさせたいと思います、もうひと月もすればと思うのですが」

必要なら自分が住込んで、五日か七日にいちどみまいに帰ってもよい。こう答えると、青岳もしいては云わず、では部屋の用意をしておくから、明日からでも来て呉れるように、ということで話はきまった。

それから稽古槍を選び、稽古着の尺を計ったりし、現今の契約金に似た、支度金の包を貰って、伊兵衛は勇気りんりんと滝沢へ帰った。

「それはおめでとうございました」

おたよは嬉しそうに祝いを述べた。嬉しそうにというのは、そうよそおったという意味である。彼女は、これで無事におさまる、とは信じていない。必ずなにか故障が起こる、きっとまた此処を出てゆくようなことになる。そう考えていたからであった。

もちろん、そんな考えは表には出さなかった。かたちだけでも祝いたいと云い、自分が起きて、ささやかながら、祝いの膳拵えをした。

「こんどはね、うまいことを思いつきましてね」久しぶりの酒で、たちまちいいきげんになった伊兵衛は、ぜんぶの筋がばらばらになったような顔で、にこにこと笑いながら云った、「これまでどうして、そこに気がつかなかったか、と思うんだが、ひと口に云うと石中の火を出さないんですよ、火を押えるんです」