Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
Lesen Sie 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.586 Zeichen · 50 Bildschirme
おたよは順調に恢復しているらしく、以前よりも肥えてきたし、血色もよく、肌も艶やかに張っていた。
「もう一昨日から、自分で食事の支度もしておりますの」おたよは笑いながら云った、「……そのほうが宿料も安くなりますし、躯のぐあいもようございますわ」
「宿料のことなんて、そんなばかな」
「いいえ、この家はもともと湯治宿で、客はみな自分で炊事をするのが定りなのです、もう病気は治ったのですから、同じようにしなければ居辛うございますわ」
「では宿を変えましょう」
伊兵衛はこう云って、ふところから謝礼の包を取り出した。今朝、出がけに青岳から渡されたものである。
「見て下さい、毎月これだけ貰えるんです」
おたよは良人の顔を見た。それから包をあけると、中には一両二分あった。
「やあこれは」伊兵衛はわれ知らず大きな声をあげた、「……これはどうも、金一枚という約束だったが、一両二分あるようですね」
「はあ、一両二分ございますわ」
「どういうのでしょうかね、半月とちょっとなんだから、まさか日割りで差引くということはないにしても、約束より多いというのは、もちろん、よもや勘定ちがいはないでしょうし」