Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきのうえのしも
雪の上の霜
山本 周五郎
Lesen Sie 雪の上の霜 (ゆきのうえのしも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.586 Zeichen · 50 Bildschirme
「とんでもない、そうではないんです、いま頂いたのが駄賃ではなくあけてみたらこんな物ですから、たぶんなにかの間違いではないかと思いまして」
「間違いって……どういう間違いです」
「つまり貴方が包を間違えて」
「冗談を云っちゃあ困るね、私はおまえさんの眼の前で銭を数えた、駄賃のほかに些少だがこころづけも添えて包んだ、おまえさんそれを見ていた筈じゃあないか」
「ええそうです、慥かに見ていました」
そのとき向うで、誰かの失笑するのが聞えた。店の中にいた人たちは(駕籠舁きや馬子たちも)この珍しい問答を聞きつけ、もうさっきから笑いを耐えながら、こっちを見ていたのである。
「それならいいじゃないか」肥えた客はまた莨盆を取って煙草に火をつけた、「――眼の前で数えて眼の前で包んで、手から手へじかに渡したんだ、受取ったあとでおまえさんがなにをしたか」
「いいえ決して、とんでもない、私はなんにもしないんです」彼は激しく首を振り、「――私はなにもしません、本当に、決してです」
また向うで誰かが失笑した、客はからかうように煙をふうと吐きながら云った。
「おまえさんがなにかしたかしないか、私は此処で煙草をつけていたから知りゃあしない、受取ったときに文句をつけるならべつだが、いまになってそんなことを云ったって、誰が本当にするもんですか、こっちは初めて